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【華Doll* 考察】知的興奮型ドラマ CD コンテンツ『華Doll*』の魅力を解説!

<華 Doll*とは?>  

『華 Doll*(読み:ハナドール)』は 2019 年に発表されたドラマ CD コンテンツです。 作品のキャッチコピーとして掲げられた「Are you a thinking reed?(あなたは考える葦です か?)」は、17 世紀フランスの哲学者ブレーズ・パスカルの言葉「人間は考える葦である」 からとられたもの。「人間とは葦のように弱い存在だが、考えることができる存在である」 という意味を表しています。 

『華 Doll*』は一見するとアイドルジャンルの作品に見えますが、その設定は、夢や願いを 叶えるために特殊な花の種を身体に埋め込み、先進的な医療技術によって人体改造をした ‘完璧なアイドル’を求める人間達の物語。エスカレートしたエンターテイメント業界の闇を 詰め込んだような SF・ディストピア世界観を通して、彼らは「人間」なのか「人形」なの かを問うサスペンスやヒューマンドラマに近い作品内容となっています。 

本編となるドラマ CD とは別に、裏設定につながる伏線やメッセージが MV や公式 Twitter など様々な場所に張り巡らされているのが特徴で、公式からは【知的興奮型コンテンツ】と 言われています。 

      

【出演キャスト】

影河凌駕:濱野大輝 
八代刹那:堀江瞬 
灯堂理人:伊東健人 
チセ:駒田航 
如月薫:土岐隼一 
結城眞紘:山下誠一郎 
清瀬陽汰:増田俊樹 
烏麻亜蝶:豊永利行 
氷薙ルイ:武内駿輔 
櫻井 鬨:山下大輝     

<華 Doll*の現在発売中アルバムは?>  

1st シーズン「Flowering」シリーズとして発表された「Birth」「Boxed」「IDOLls」「Message」 「For…」の計 5 枚のアルバムと、現在進行中の 2nd シーズン『INCOMPLICA』シリーズ のアルバム「IU~Univers~」「IU~Meet~」「I/F~Idéal」が発売中です。
※全国アニメイト・ステラワース他、国内外問わず配信・サブスク(itunes/Spotify/AppleMusic/Amazon 他)でも購入可能。 

© 2019HANA-Doll
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1st シーズンは『Flowering』シリーズ。「Boys were still in a dream(少年たちはまだ夢の中)」 という副題を持ち計 5 巻のアルバムで構成されたこのシリーズでは、6 人の少年たちが“華 人形プロジェクト”で出会い、Anthos というアイドルユニットとして体内の華を開花させる までの葛藤や成長物語が描かれます。 

2nd シーズンは現在進行中の『INCOMPLICA(読み:インコンプリカ)』シリーズ。6 人全員の開花後、7 人組となった Anthos*と活動休止から復活した先輩ユニット Loulou*di との 物語が描かれます。      

<華 Doll*シリーズの MV に隠されたストーリー>  

『華 Doll*』の MV(ミュージックビデオ)は映画やドラマのようなストーリー仕立てにな っているのが特徴です。MVの時系列は公式から明言されていませんが、各アルバムのコン セプトに沿った仕掛けになっているので、まずは発売されているアルバムに収録された楽 曲順に観ることをおすすめします。 

以下が 1st シーズン「Flowering」シリーズの MV です。 

1.「BIRTH」 

Anthos『BIRTH』 Official MV (Thinking reed Ver.)
© 2019HANA-Doll

      

2.「Unknown」 

Anthos『Unknown』 Official MV (Thinking reed Ver. )
© 2019HANA-Doll

     

3.「Juliet」 

Anthos『Juliet』 Official MV (Thinking reed Ver.)
© 2019HANA-Doll

      

4.「S.T.O.P」 

Anthos『S.T.O.P』 Official MV(Thinking reed Ver.)
© 2019HANA-Doll

     

 5.「ChangeYourWorld」 

Anthos『ChangeYourWorld』 Official MV(Thinking reed Ver.)
© 2019HANA-Doll

    

6.「Me Against Myself」 

Anthos『Me Against Myself』 Official MV(Thinking reed Ver.)
© 2019HANA-Doll

      

7.「I know, Who I am」 

Anthos『I know,Who I am』 Official MV(Thinking reed Ver.)
© 2019HANA-Doll

YouTube 公式にアップされているフル MV は 1st シーズンの楽曲だけでも 7 曲。それらは Thinking reed Ver.(考える葦バージョン)と名付けられ、楽曲だけでなく前後に短い映像 が追加された 5 分程度のショートフィルム仕様になっています。 

『華 Doll*』での MV の立ち位置として、以下のことがあげられます。 

・CD に収録されたドラマパートではわからない裏設定の伏線が得られる
・ドラマパートや公式 Twitter の内容とリンクする情報がある 
・各キャラクターそれぞれのモチーフが形を変えて繰り返し出てきて、MV を追うごとに 意味合いが色濃くなる。 

各 MV にはそれぞれのメンバーに関係するモチーフが形を変えて繰り返し出てきており、 例えば「Unknown」の MV 中に眞紘に向けて放たれた矢と飛び散る白い羽は、「S.T.O.P」 の MV でダーツの矢と白から黒に変化する羽に変わり、その後公開された「Me Against  Myself」「I know,Who I am」の MV では眞紘に生える黒い翼と無数の矢として出てきます。 

公式からも明言されているように、MV 内のストーリーは全て“繋がっている”のです。 視聴者はそれらを組み合わせながら MV のストーリーを読み解く考察合戦を繰り広げています。

© 2019HANA-Doll
© 2019HANA-Doll
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現在進行中の 2nd シーズン「INCOMPLICA」シリーズでは、7 人となった Anthos*と Loulou*di というもう 1 ユニットが増え、今まで積み重ねてきた伏線にプラスしてそれぞれ の抱えている過去や深層心理がより深く MV 内でも描かれています。 

Anthos*の「Flash Point」の MV では、SF 風の世界観の中、凌駕・理人・チセのチームと 薫・眞紘・陽汰・刹那のチームが監視役と泥棒役に分かれた設定で映像が進みます。これら のチーム分けはこの曲が収録されているアルバム『IU~Meet~』のドラマパート内で刹那を 巡る立ち位置とわかりやすく一致しています。

Anthos*『Flash Point』 Official MV(Thinking reed Ver.) 

Anthos*『Flash Point』 Official MV(Thinking reed Ver.)
© 2019HANA-Doll
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また、1st シーズンの MV との繋がりも重要です。 

例えば 1st シーズンのアルバム『Boxed』に収録された楽曲「Juliet」の MV やソロ曲 「Pain In My Heart」の MV では、雨の中に立っていたり大量の錠の前でハートの宝石を 持ちながら泣いていた理人は「Flash Point」の MV では雨の降る部屋にチセを閉じ込め、 首に鎖と鍵をかけ監視しています。 

雨やハートはこれまで理人とチセのモチーフとして度々MV 内に登場してきました。

© 2019HANA-Doll
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理人の内面を綴ったソロ曲「Pain In My Heart」歌詞には以下のような表現があります。 ―雨に溶けた彼女(キミ)の色が綺麗で―  

この歌詞ではキミという言葉に‘彼女’という字があてられ、音からは‘黄み’ともとれます。 MV だけでなくこうした何重もの意味を持つ言葉遊びや情報が歌詞の中に入っているのも 『華 Doll*』の魅力の一つです。

また 1st シーズンのアルバム『For…』プロモーションの際 Twitter で発表されたティザー ポスター(理人/チセ Ver.)には以下のような文章がありました。 

―愛とは互いに線を引くもの、愛とは互いを救うもの―  

© 2019HANA-Doll

ドラマパートでは、チセへ特別な感情を向けたシーンが目立つ理人。1st シーズンから変化 していく彼らの関係の裏に何があるのでしょうか。疑惑のヒントとなるエピソードは CD の ドラマパートや MV 以外にマガジンエッジで連載中のコミカライズ 2 話でも知ることが出 来ます。 

© 2019HANA-Doll
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コミカライズ『華 Doll*~Boys were still in a dream』マガジンエッジ 3 月号より 

Anthos*だけでなく、Loulou*di についても MV に様々なメッセージが隠されています。 例えば「Final Direction」では、亜蝶と鬨のシーンにサブリミナルで彼等の過去に大きく関 わるワードが隠されており、この伏線を回収してからドラマパートを聴くことによってよ り亜蝶やルイ、鬨への解釈が深まる仕様となっています。 

Loulou*di『Final Direction』 Official MV(Thinking reed Ver.) 

Loulou*di『Final Direction』 Official MV(Thinking reed Ver.)
© 2019HANA-Doll
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MV を見てドラマパートを聴くだけでもかなりの謎が明らかになりますが、更に重要とな るのがドラマパートとリンクする公式 Twitter の存在です。 

<様々な情報を点と点で繋ぐ楽しみ方>  

『華 Doll*』の世界は、本来アイドルが見せない裏側をまるでドキュメンタリーを見るかの ような感覚でドラマ CD から知ることができ、アイドルとしての表の姿は Twitter の様子か ら楽しむことが出来ます。彼らの Twitter は現実世界の時間軸とリンクしており、アイドル としての活動報告やファンとの交流など、現実に彼らが実在するかのようなやり取りが毎日のようにされています。 

<天霧プロダクション『華 Doll*』公式ツイッター>

© 2019HANA-Doll

      

<Anthos*公式ツイッター> 

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<Loulou*di 公式ツイッター> 

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しかしそんな中にもさまざまな伏線が仕込まれているのです。 

例えば、あるメンバーの露出が一定期間急に少なくなったり、突然意味深なツイートをした りすることも。私たちファンは発売されたドラマ CD の内容を聴くことによって、そのツ イートの裏側で彼等の身に何があったのか推測することができるのです。 

中でも最も衝撃的だったのが、2020 年の 12 月に起こった<文春オンラインとのコラボ企 画>でした。 

ちょうど 2nd シーズンの初アルバム「IU~Univers~」発売日であるクリスマスに合わせて 投稿された公式のツイートには「華人形プロジェクトに対するいわれのない悪評や噂を吹 聴するサイトがある為、それを通報してほしい」というファンへのお願いが書かれていまし た。 

そのツイートをスタートに、まるでその企画が本物かのように次々と『華人形プロジェクト』 に疑惑を向ける噂話サイトや裏チャット、ゴシップ記事や Twitter アカウントが次元を超え てネット上に出現し、私たちはあることないことが書かれた膨大な情報を覗きながら‘向こ うの世界線のファン’として悪質サイトの撲滅運動に参加するようになります。 こうした、思わず現実と混同してしまいそうな企画に対しても、公式から何かが言及される

ことはほとんどなく、ファンは自分たちで考えて推理していくことで、与えられた情報に対 して自分なりの答えを見出していくのです。 

【悪質サイト撲滅キャンペーンサイト】 

キャンペーンサイト:https://hana-doll.com/areyouathinkingreed/

© 2019HANA-Doll
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※今も Twitter 上に「#華Doll キャンペーン」で検索をかけると記事やサイトのスクショが見れる。 

コラボ企画が終わったころ、いつの間にかすべての記事や関連アカウントが削除されてし まい、それらの企画はなかった事になるのかと思われましたが、悪質サイトで槍玉にあげら れていたためしばらく Twitter に現れていなかった Anthos*の眞紘が爆弾的に以下のツイー トをアップし、その後ソロ曲「Tycoon」を発表しました。 

© 2019HANA-Doll
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―エゴで差別 庇護で優越、好きに決めつけるな Mind your business―  

「Tycoon」の歌詞より  

このように現実と二次元で起こっているバラバラだった点と点を繋ぐことで、偶然だと思 っていた出来事は実は仕組まれた伏線だったり、思わぬストーリーに繋がったりと、より深 く『華 Doll*』の世界観を楽しむことができるのです。 

のめり込めばのめり込むほど深い楽しみや快感を得られる、それが『華 Doll*』の特徴と 魅力といえるでしょう。 

<理解できないから考える>  

考察、伏線、ばらまかれたヒント、次元の向こうで生きているアイドル…様々な情報の渦に 私たちを引き込む『華 Doll*』の世界は、まるで現代のネット社会を表しているようです。 そんな社会の中で“ひとりの人間を 100% 理解できない“ように、複雑に絡み合った『華 Doll*』 の世界を一度に理解できる人は、いたとしても恐らくほんの一握りでしょう。 

楽曲だけ聴いたり、アイドル達のファンとして推し活をしたり、作品に関わる参考図書や映 画に興味を持ったり、考察をする為にありとあらゆる情報を追いかけたり… 今もそれぞれのファンがそれぞれの楽しみ方でこのコンテンツに触れています。その多様 性を尊重した作品の受け入れ方こそが『華 Doll*』の中では正しいことなのです。 だからこそ公式は“理解すること”ではなく、“考えること”を求め、「Are you a thinking reed?  (考えることは如何なることか)」と常にこちら側に問いかけているのです。 

© 2019HANA-Doll

あえて答えのない世界に放り込まれた時、人はどうなるのか。 
徹底的に作り込まれた世界観と設定の中で時代の逆をいく楽しみ方を追求しようとする
『華 Doll*』。 

彼等のつくりだす壮大な物語の中に仕組まれた、あらゆる感情や知識を学ぶきっかけは、 これでもかというくらい人の本能的好奇心をくすぐってきます。 

そこに描かれていることを読み解くのに、専門的知識は必要ありません。 夢を追いかけること、誰かを愛すること、異質を嫌うこと、自分と違う他人を受け入れるこ と、心の中でくすぶっている負の感情や希望…誰にでもあるけれど、簡単に答えが出ない何か。そういった人間ならではの「感情」「解釈」に問いかけを行い、答えを見つけるためのヒントを公式はいつも作品のどこかに落としていきます。 

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完璧なものなど何一つない世界で「完璧」を求めてしまう世界。 
現代社会にもつながる闇や人間の欠陥を、時にはタブーともとれるテーマに触れながら 『華 Doll*』は作品の中で恐れず描きます。 

ファスト商品やインスタントが好まれる時代にあえてぶつけられた刺客。時間に追われて考えることを放棄せざるを得ないような時代だからこそ嫌煙されがちな作品スタイル。きっとその中には“共感”で心動かされる部分や悩み苦しんでいることに思わぬ 答えが見つかる「種」がたくさんつまっていることでしょう。 
一度入ったら抜けられない、底なしの『華 Doll*』の沼。 

あなただけが華を咲かせられる「解釈の種」を、是非一緒に育ててみませんか。

       

© 2019HANA-Doll

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