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2024年9月13日(金)から全国で大ヒット上映中の映画『わんだふるぷりきゅあ!ざ・むーびー!ドキドキ♡ゲームの世界で大冒険!』。
本作は、犬飼こむぎや犬飼いろはたちが、あやしいタヌキがいる「ゲームの世界」に吸い込まれてしまったことをきっかけに、そのゲームの世界に隠された秘密を探りつつ、『ひろがるスカイ!プリキュア』と『魔法つかいプリキュア!』のキャラクターたちとともに、わんだふるな“奇跡”を起こすストーリーです。
今回、本作の宮原直樹監督に単独インタビューを実施。「現実世界」と「ゲームの世界」という2つの世界を描くにあたりこだわった点や本作を通じて伝えたかった想いなど、たっぷりと伺いました。
――映画『わんだふるぷりきゅあ!ざ・むーびー!』の監督を打診された際を振り返って、どのようなお気持ちだったのかお聞かせください。
宮原直樹監督(以下、宮原監督):正直、僕がやるものではないと思っていたので、お話をいただいた時にはピンとこなかったのですが、プロデューサー含め、皆さんに説得されまして(笑)。また、好きなスタッフでやっていいよと言われたので、じゃあやってみます! と引き受けさせていただきました。
――ご自身がやるものではないと思ったのは何故でしょうか?
宮原監督:毎年上映される映画にしても、テレビシリーズにしても「プリキュア」は割とシリーズに携わり続ける生え抜きのスタッフさんや若い元気な演出の方が担当するイメージがありましたので、「プリキュアシリーズ」とかかわりも薄く、また僕のようなおじさんが監督をやるべきではないなと(苦笑)。
監督を務めるのが嫌だったというわけではなく「本当に僕でいいのかな?」という気持ちが強かったです。ですが、20年というシリーズの歴史が積み重なった上での21作目の映画を、気心が知れたメンバーと作れるということもありましたので、モチベーションは比較的高い状態で取り掛かりました。
――気心が知れたメンバーというのは?
宮原監督:CGアニメーション制作を長年僕と一緒に担当してくれたメンバーです。自分の指向や表現したい事をしっかり汲み取ってくれる、そのようなスタッフを中心にプロデューサーがスタッフィングしてくださいました。
制作サイドのサポートが的確で、僕も現場スタッフも絵作りに集中でき、スケジュール的にもきれいにまとまっていたと思います。やるべきことを時間内にやれた、というのは大きな成果だったなと。ただ、時間の許す限り、クオリティを追求するスタッフが揃っていましたので、ギリギリまで頑張りました。
――本作では「現実世界」と「ゲームの世界」の2つの世界で物語が展開していますが、それぞれを描く際にどのような点にこだわられましたか?
宮原監督:映画の大枠を組み立てる時点で、通常の作画とCGパートを半々で描くというのは決めていました。ただ、CGの絵柄は普段テレビシリーズを見ている方にとっては見慣れないものになりますので、通常の作画の方はいつも見ている『わんだふるぷりきゅあ!』の絵のまま、しっかりと作ってください、とオーダーをして、その分、CGパートでは「ゲームの世界」らしく、はっちゃけさせていただきました(笑)。
――CGパートの「超タヌし~!ポコポコダンシング玉入れ」のような、「ゲームの世界」のゲーム対決シーンもとても可愛かったです。
宮原監督:ありがとうございます。せっかく、こむぎたちがゲームの世界に入るので、ゲームとして実際にありそうな題材や遊んで楽しいと感じられる要素を色々と考えまして、シナリオの段階で脚本家やプロデューサーと話しながら作り上げていきました。
――ちなみに「超タヌし~!ポコポコダンシング玉入れ」以外で、描いてみたかった種目はありますか?
宮原監督:種目というより、「超タヌし~!ポコポコダンシング玉入れ」はその名の通り、踊りながら玉入れをするのですが、ダンス曲が始まっても玉入れを続けていると床が抜ける、という仕掛けを当初考えていました(笑)。
ただ余計な要素を入れると蛇足になってしまうと思ったので、見やすく、よりシンプルにしたのが皆さんにご覧いただいている完成版です。
ほかにもゲームにまつわる少しハード目なルールや仕掛け等色々とアイデアはありましたが、「プリキュア」自体のテーマから離れすぎてしまっては意味がないので、そこは調整をしながらでしたね。
――映画では『ひろがるスカイ!プリキュア』と『魔法つかいプリキュア!』のキャラクターたちも登場しますが、彼らの登場シーンや彼らがいる元々の世界観との融合など、どのように作り上げていったのでしょうか?
宮原監督:テレビシリーズの『わんだふるぷりきゅあ!』の前作である『ひろがるスカイ!プリキュア』の皆さんに出ていただくことは早い段階で決めて、あともう1チーム出せないかなと検討を重ねました。
テレビシリーズ歴代のプロデューサーとも相談しつつ、シリーズの中でも僕が携わった短編作でモフルンを取り上げさせていただいたこともあり、『魔法つかいプリキュア!』に登場していただくことになりました。世界観の違う作品のキャラクターたちが揃いますから、ストーリーとして違和感がないように調整をしていただいて、シナリオを作り上げていきましたね。
『ひろがるスカイ!プリキュア』と『魔法つかいプリキュア!』のキャラクターたちは、主に最後の方に活躍することになるのですが、そこだけ登場すると唐突感があるので、登場するまでの前振りがしっかりあって、そこから変身した姿の登場シーンに繋がるようにストーリーを組み立てていただいたので、違和感がないのはシナリオの妙だったと思います。
映画公開後に「(『ひろがるスカイ!プリキュア』と『魔法つかいプリキュア!』のキャラクターたちが)変身前の姿で出てくるとは思わなかった!」というSNSの書き込みも見かけましたので、前振りがうまくいった! と感じています。
――映画『わんだふるぷりきゅあ!ざ・むーびー!』は「ゲームの世界」にいることでの“幸せ”と「現実世界」の“辛さ”、でも「現実世界」だからこその得られる“幸せ”といった、キャラクターたちの葛藤も描かれているように思います。子供は純粋に楽しめる一方、大人も考えさせられるような要素があったように感じられましたが、宮原監督が一番描きたかったこと、本作を通じて伝えたかったことは何でしょうか?
宮原監督:最初から意図して“いい話”にしないようにしたいというのが、僕の中にありまして。
昨年公開された20作目の『映画プリキュアオールスターズF』は、テレビシリーズ歴代20作品の全78キャラが登場して、スケールも大きく、格調高い作品で、多くの方に評価された作品でした。それもあって今回は少し目先を身近なところに戻したいと思ったのが構想の始まりでした。ベースになるTVの『わんだふるぷりきゅあ!』が“ペットと飼い主”をテーマにした作品でしたので、“ペットと飼い主”の気持ちが通じあったとき、お互いにどう動きだすのか、ごく身近なところにある幸せとは何なのか、を感じてもらえれば良いなと。
ストーリー的には「ゲームの世界」は楽しいことばかりで、ここにいたら時間を忘れて楽しく過ごせる、でも、自分たちにはいるべき世界があるから帰らないと、という葛藤も描いていますが、そのストーリーの流れも最初から意図して、こういう流れにしよう、と狙って表現をしようと思ったわけではないんですよ。
シナリオの打ち合わせを重ねていく中で、自然と出てきたテーマで……。自然と出たテーマ、気持ちだからこそ皆さんにも受け入れていただきやすかったのかなと思いますし、「感動した」という感想を多くいただけたので、スタッフが込めた想いが伝わってよかったなと思います。
映画は、テレビシリーズのスタートと並行して制作しているので、テレビシリーズがどういう展開になっていくのか知らないところで作り上げていかなくてはならないんですよ。うまくテーマが重なればいいなという気持ちで作り進めていたのですが、今回はうまくテーマが重なって、きれいに着地出来てよかったです。
――キャラクターたちは“ペットと飼い主”という関係性でありながらも、家族やバディ感もあります。特にこむぎといろはが離れ離れになったとき、いろはに会いたくてこむぎが懸命に走るシーンは、CGで表現されていることもあり、疾走感もありました。CGパートのこういった表現の部分では、監督から指示された点はありましたか?
宮原監督:今回の映画は普段の「プリキュア」のお話と違って、戦闘的なアクションシーンがあまりない分、動かすとしたら走ったり、飛んだりが多いんです。とはいえ、単純に走るとしてもシチュエーションは多岐にわたっていて、じゃあどういう気持ちで走っているのかなど、スタッフと話し合いながら動きや表情を付けていったと思います。
例えば、こむぎはこの場面ではこういう感情で走っているので、顔の表情はこういう感じにしてほしいとか、でも必死になりすぎて怖い表情にはしないでほしい、とか。しっかりとキャラクターたちの気持ちに沿った表情を作ってもらい、そこからのアクションもアニメーターが非常に素敵に表現してくれたと思います。
――CGパートと言えば、大福の変身シーンには焦らされました。CGパートではコミカルなシーンが随所に見られましたが、監督のご希望だったのでしょうか?
宮原監督:焦らされましたか(笑)。そうですね、僕が主に担当したCGパートでは大福の変身でちょっと焦らしたり、各所でお遊びを入れさせていただいたりしましたね。
変身後の姿は通常の作画でしか表現できないので、ゲームの世界であるCGパートから通常の作画に戻ったときに、しっかりと狙っての展開としました。
あの場面は意図してああいう演出にしています。
――演出と言えば、エンディングの後にナツキが登場したシーンには、かなりグッと来てしまいました。非常にドラマティックな演出だったと思います。
宮原監督:そう言っていただけて嬉しいです。最後のシーンは、いろはとこむぎたちのような“ペットと飼い主”という関係ではない、動物と人間の関わり方……近づけないし触れ合う事が出来ないけれど、見えない“絆”みたいなものを描けないかなと思いまして。それをシナリオに落とし込んでいただきました。
ほかにも終わり方に関して色々とアイデアもあったのですが、最終的に作画パートの演出さんがあの形に収めてくださって。視点を変えて見ていただけたら、大人の方もまた違う印象を持って、最後まで楽しんでいただけるかなと。
――大人が見ても楽しめる映画になっており、宮原監督をはじめスタッフの皆さんがさまざまな想いを込めて制作されたからこそ、見た人も色々なものを得るきっかけになっていると思います。逆に宮原監督が今回の作品作りを終えて、得たものはありましたか?
宮原監督:そうですね……僕はCGの方をここ最近担当していて、通常のテレビアニメのスタッフと関わることが少なかったのですが、今回、久しぶりに一緒に仕事をさせていただいて「気づき」があったことでしょうか。
今の若い方は、それこそデジタル世代ですから、それぞれがやれることの幅がものすごく広がっているんですよ。しかもそれをうまく使いこなしている。そんな彼らのすごく新しい感覚や技術を合わせながら仕事をすることができたので、アニメ界も変わってきたなぁ、どんどん進化していくんだな、というのを感じました(笑)。
――ありがとうございました。それでは最後に映画『わんだふるぷりきゅあ!ざ・むーびー!』はもちろん「プリキュアシリーズ」を愛する多くのファン、そして宮原監督のファンへ向けて、メッセージをお願いいたします。
宮原監督:自分がアニメーションのことを教わった西尾大介監督が始めたアニメシリーズに、20年という時間を経てこのような形で携わらせていただき、感慨深いものがあります。
「プリキュアシリーズ」の映画のひとつとして、うまくはまっているかはまだ分かりませんが、多くの方に楽しんでいただける作品が作れたのでは? という安堵の気持ちでいっぱいです。
またいつかどんな形ででもお手伝いする機会があったらいいな(笑)。
■公開日
9月13日(金)より上映中
■ストーリー
大人気ゲーム【ドキドキ♡タヌキングダム】で遊ぶため、こむぎ、いろは、ユキ、まゆ、大福、悟が大集合!
みんな仲良くゲームスタート! のはずが…あやしいタヌキがいるゲームの世界に吸い込まれちゃったみたい…。
さらに大ピンチ! こむぎは、いろはやみんなと離れ離れになっちゃった…!?「ずっとずっといろはの隣にいたいんだワン!」
大好きないろはに会うために、こむぎはいろんなゲーム対決に挑戦することに!
一体どうしてこんなことに…? ゲームの世界に隠された秘密ってなに…? 手がかりはゲームをつくった少女・ナツキが握っていて――。
「ひろがるスカイ!プリキュア」と「魔法つかいプリキュア!」も大集合! みんなの想いがひとつになった時、わんだふるな奇跡が巻き起こる!?
■キャスト
長縄まりあ 種﨑敦美 松田颯水 上田麗奈
関根明良 加隈亜衣 村瀬歩 七瀬彩夏 古賀葵
高橋李依 堀江由衣 早見沙織 齋藤彩夏
寺島拓篤 中村悠一 立花慎之介 / 花澤⾹菜 三宅健太
ゲスト声優:ジャルジャル(後藤淳平・福徳秀介)
■主題歌
・エンディング主題歌:「Happy≒Future」
歌:後本萌葉・吉武千颯 作詞:青木久美子 作曲・編曲:馬瀬みさき
・挿入歌:「大好きのキズナ」
歌:石井あみ・北川理恵 作詞:こだまさおり 作曲・編曲:馬瀬みさき
■スタッフ
原作:東堂いづみ
監督:宮原直樹
脚本:加藤陽一
演出:村上貴之
音楽:深澤恵梨香
キャラクターデザイン:宮谷里沙
美術監督:谷岡善王
色彩設計:横山さよ子
撮影監督:大島由貴 佐々木果南
CGディレクター:中沢大樹
音響監督:菅原三穂
わんだふるぷりきゅあ!ざ・むーびー!製作委員会:東映アニメーション 東映 ABCアニメーション バンダイ ADKエモーションズ マーベラス
■WEB関連
映画公式ホームページ:https://2024.precure-movie.com/
映画X:@precure_movie
TVアニメ公式ホームページ:https://www.toei-anim.co.jp/tv/precure/
TVアニメ公式X:@TVanime_precure
TVアニメ公式Instagram:@precure_curesta
(C)2024 わんだふるぷりきゅあ!ざ・むーびー!製作委員会
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