2024.11.18

大好評上映中の劇場アニメ『がんばっていきまっしょい』竹達彩奈にインタビュー！　今まで演じたことがないタイプのキャラクターへの向き合い方を語る

2024年10月25日(金)から全国劇場にて公開中の劇場アニメ『がんばっていきまっしょい』。
本作は、自然豊かな愛媛県松山市を舞台に、ボート部に青春をかけた女子高校生たちの成長や等身大の心のゆらぎを描いた作品で、公開後から数多くの絶賛コメントが寄せられています。

原作は、1995年に松山市主催の「第4回坊っちゃん文学賞」大賞を受賞し、映画やドラマとして次々と実写化された敷村良子先生による同名小説。

今回、寺尾梅子役の竹達彩奈さんにインタビュー。今まで演じたことのないキャラクターに決まったときの気持ちやオーディション秘話、高校時代の思い出などをお聞きしました！

大好評上映中の劇場アニメ『がんばっていきまっしょい』雨宮天＆伊藤美来にインタビュー！　2人が語る作品とキャラクターの“リアルさ”とその魅力

表情が分かりにくいキャラクターだからこそ演じ甲斐のあるキャラクター

――竹達さんが今回演じられたキャラクター・寺尾梅子は、今までに竹達さんが演じているのをあまり見かけたことがないキャラクターだったように感じました。

竹達彩奈さん（寺尾梅子役／以下、竹達さん）：そうなんです！　私自身もすごく新鮮でした。じつはオーディションのとき、ほとんどのキャラクターを受けさせていただいて、そのなかに梅子もいたのですが、梅子は自分のなかでも新しいタイプのキャラクターだったので、選ばれることはないかな？　というキャラクターだったんです。だから記念受験みたいな形で受けさせていただいたら、梅子に決まりまして。すごくビックリしましたし、なんで梅子だったのか、監督にいつか聞きたいなと思います。

――ほとんどのキャラクターを受けることができたのもすごいですね。

竹達さん：そうなんです。ありがたいことにいっぱい受けさせていただいたので、どのキャラクターも楽しかったです。梅子も今まで演じたことがないタイプのキャラクターで新鮮でしたし、オーディション受けるとなったときになかなか振られないキャラクターだったので、私、受けていいんだ……という嬉しさのなかでオーディションを受けましたし、まさか梅子になるとは！　と驚きもありました。

――梅子役に決まってから臨んだ本作のアフレコ時のエピソードを教えてください。

竹達さん：梅子はまったく表情が出てこない子なので、台本を読んでいても難しいな、分かりにくい子だなと思っていました。実際、絵を見ながら台本を読ませていただいたのですが、アフレコ時には一部を除いて絵がほとんど出来上がった状態だったので、私が喋るシーンではキャラクターが綺麗に動いていて、梅子も分かりやすい！　と思ったのですが、完成版を見たら全然笑っていないなと（笑）。

表情の見えない子だったので、ミステリアスな子だなと思いながら演じさせていただきました。普通に喋っていると誤解されてしまいそうな、ちょっと不器用な子で、本人はボートをがんばるぞ！　という熱い思いだけで突き動かされているだけだと思うのですが、人とのコミュニケーションが得意な方ではないうえ、思っていることをすぐに言ってしまう。そういう子なので、あまり嫌な子に見えないといいな、と思いながらやりました。台本に書いてあるセリフをそのまま言うと、ただの嫌な子に見えてしまうので……。「そこ、どいてもらえる？」みたいに、素直に言ってしまう部分とかも「もっと言い方あるじゃん！」とは思いました（苦笑）。ただただ不器用で、悪い子ではないので、それが皆さんに伝わっていたらいいなと。

不思議な間合い、独特な雰囲気の子なんだなというのは見ていただければ分かると思います。

――表情からその気持ちを読み取るのは難しいですが、ボートに対しての熱意はすごいですよね？

竹達さん：そうなんです。分かりにくいんですが、心の中に青い炎が灯っているタイプの子なのかなと。

――梅子が通う港山高校はボート部の強豪校であり、しかも梅子はエースという立場ですが、上から見下ろす感じはまったくないですね。

竹達さん：梅子はフラットなんですよね。ライバルだから負けないぞ！　と相手を敵に見ているわけではないですし、一緒に頑張ろうね！　という仲間ほどの間柄ではないけれど、認め合っているような感じがあったり。お互いの学校で、それぞれがベストな結果を出せたらいいね、みたいな。お互いの世界でやれることを頑張ろう！　みたいな感じです。クールでカッコいいなと。

――ちなみにボート部という部活動についての印象はいかがですか？

竹達さん：私はこの作品で初めてボート部という部活動を知りまして。埼玉出身で、海がないところで育ってきたので、青い海を見るのが新鮮に感じるのですが、学校の部活にボート部があること自体がすごいなと思います。みんなで声を掛け合って、熱い部活なんだなと思いました。私は海に入るの怖いので、海に入るのが当たり前の日常ってすごいなと。私が通ってこなかった世界でした！

――同じボート部には幼馴染の大野舞（CV：三森すずこ）と後輩の安田夏央莉（CV：内田彩）がいますが、キャラクターの印象を教えてください。

竹達さん：2人が出てくるシーンを見ていると、友達っていいなと（笑）。梅子はクールで、みんなでワイワイするタイプの子ではないので、日常を過ごしていると誤解されがちなタイプですが、幼馴染や自分を分かってくれている子が近くにいることで安心する、支えられている部分があって。特に天真爛漫で、寄り添ってくれる友達がいて、一緒に同じ夢に向かって一生懸命に頑張ることができるなんて、それだけで人生儲けもんというか、いるのといないのでは雲泥の差、学校に行く価値も違うと思うので、この世界の中では当たり前のように友達として存在していることがありがたいなと。友達って宝物だな……というのを作品を通して感じさせていただきました。

また、段々と仲間が増えて、絆も深まっていくのですが、ちょっとずつ絆が深まっていくのがリアルで。微妙な空気になる感じも共感できましたし、リアルな友情関係を感じることも多かったなと思います。

――大野さんと安田さんは、部活でも学校でも日常生活でも支えなのかなと。

竹達さん：そうなんです！　たぶん死ぬ間際に、絶対に走馬灯で出てくると思うくらいに宝物の存在だと思います！

――三森さんと内田さんとは一緒にアフレコされたそうですが、現場の雰囲気はいかがでしたか？

竹達さん：みんな手探りな感じでしたね（苦笑）。お互いに別現場ではよく会っているので、役者同士は「久しぶり～！」みたいな感じで楽しくやらせていただいたのですが、メインキャストがいないなか、3人だけの収録だったので、（相手は）どんな感じなのかな？　みたいなことをお互いに探りながらアフレコをしました。

特に最初に梅子たちが登場する場面では、2人が梅子の取り巻きみたいな見え方になってしまう可能性もありますし、やりすぎると梅子たちがただの嫌な人になってしまうので、空気を読み合いながらマイク前に立って、アフレコした気がします。内田さんも三森さんも現場でよくお会いするので、安心して、ほんわかした気持ちでやれました！

――港山高校ボート部にとってライバルとなる三津東高校ボート部はどのように見えましたか？

竹達さん：最初は眼中にもなかったのかなと。梅子はそもそも他の学校に興味があるのかな？　と思ってしまいますね。自分の結果がすべてだと思っていそうなので、周りのことをそこまで意識していないかも。ただ、まったく眼中になかった学校が頑張っている姿は嫌でも目に入ると言いますか、梅子も三津東高校に対しては一目置いているのかなと思います。彼女のやる気をたきつけてくれている存在なのかなと思いますね。

竹達さん自身の高校時代の思い出とは？　挫折を味わった養成所時代

――見どころ満載の本作ですが、ここはより注目して見てほしい！　という一番の見どころを教えてください。

竹達さん：花火のシーンが印象的でしたね。先ほど監督にお話を聞いたら、監督が愛媛に行って、花火の音を直接録ったそうなんです。音にかける情熱がすごいなと。

――ちなみに作品の舞台である愛媛に行かれたことはありますか？

竹達さん：ないのですが、愛媛のみかんはよく食べます（笑）。いつも通っている美容院の店長さんが愛媛出身の方で、私のお家に毎年、愛媛のみかんを送ってくださるんですよ。毎年美味しくて。みかんが不作の年もあるらしいのですが、それでもいただくと美味しくて。これで不作なの!?　と思ってしまうレベルです。ベストな状態のみかんってどれくらいの美味しさなのか気になるので、地元の方がこれだというみかんを食べに愛媛に行きたいですね！

――本作は廃部状態のボート部の復活、そして大会へと青春を懸ける女の子たちの姿が描かれています。竹達さん自身は高校時代に情熱を傾けた活動はありますか？

竹達さん：私は当時、声優になりたいということだけを思っていたので、それしか考えていなかったです。養成所に通っていたのですが、毎日レッスンのことを考えたり、オーディションでどうやって自分をアピールしようかなとかそういうことばかりを考えていました。どうやったら声優になれるんだろうと。

事務所に受かって、事務所に所属はしているけれど、たまにしかオーディションはもらえないし、事務所に所属したからといってすぐに声優になれるわけではないんだと、そこで挫折を感じたんです。私は中学2年生の時に養成所に入って、高校1年生の時に事務所に所属したのですが、所属したらすぐに声優になれるんだと思っていたんですよ。でも全然そんなことはなくて、半年に1回でもオーディションに参加できればいいくらいでしたし、事務所に入っていても、養成所に通っていたので、いつになったらお仕事をもらえるのかなと漠然とした不安を抱えながら日々過ごしていたのが高校時代です。

どう自分を売り込むかを必死に考えていて、ある意味、青春と言えば青春でしたが、本当にそればかりだったなと。養成所に通うのもお金がかかるので、バイトもしていましたし、土日はレッスン、平日は勉強して……と、とにかく必死でした。

――そんなに大変な高校時代でも、挫けることなく声優を目指すために頑張れたのは何故でしょうか？

竹達さん：「声優になりたい」という意志が人一倍強かったからですね。溢れ出る若さゆえのパッション、エネルギーみたいなものがあって。絶対に自分は声優になれるんだという謎の自信もあって、その自信もいい感じに作用してくれて、めげずにいられたのかなと。同期で入った役者さんでもすぐにオーディションを受けられたり、デビューが決まったりして、でも私は全然何もなくて、それがとにかく悔しくて。そういう気持ちもいいエネルギーになって、やってやる！　と思って、ここまでこられたのかなと思います。

当時、養成所では私が一番年下ではありましたが、同じように声優を目指す仲間がいて、一緒にレッスンを受けて、どうしたらもっとお芝居がよくなるか、みたいなものをレッスンの後に相談しあって……。その時間が息抜きだったり、励みだったりもしましたね。逆に学校だと自分の居場所がなかったので、そういう養成所の仲間、事務所の子たちが自分の中では大切な人です。

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劇場アニメ『がんばっていきまっしょい』作品情報

■公開日
2024年10月25日(金)より全国公開中

＜入場者プレゼント＞
キャラクターデザイン・西田亜沙子さん描き下ろし限定イラストカード

【3週目】配布期間：11月8日(金)～11月14日(木)
・イラスト「悦ネエ」
・オーディオドラマ【雨宮天、伊藤美来、「僕が見たかった青空」から金澤亜美、柳堀花怜、早﨑すずき、八木仁愛】
・ラジオ特別版３【雨宮天、「僕が見たかった青空」から金澤亜美、柳堀花怜

■STORY
あきらめない。みんなとなら言える。

学校をあげてボートのクラスマッチを行っている三津東高校。誰もが全力で競技に挑む中、2年生の村上悦子はひとり冷めた表情だ。才能もないのに頑張ったって仕方ない……そう気づいてからの悦子は、勝負をあきらめてばかりいる。そんなある日、悦子のクラスに高橋梨衣奈という転入生がやってきた。クラスマッチのボートに感動した梨衣奈は、悦子と幼なじみの佐伯姫を巻き込み、廃部状態だったボート部の復活に奔走する。同学年の兵頭妙子と井本真優美が入部し5人になると、名義貸しのつもりだった悦子も渋々、初の大会に出場することに。試合当日、理想と現実の差に打ちのめされてしまった悦子たち。全員がゴールをあきらめかけた瞬間、悦子がオールを再び握りしめる。「私、もっと上手くなりたい」という悦子の言葉で、5人の気持ちはひとつになる――！

■声の出演
雨宮天、伊藤美来、高橋李依、鬼頭明里、長谷川育美、江口拓也、竹達彩奈、三森すずこ、内田彩

■スタッフ
原作：敷村良子『がんばっていきまっしょい』（幻冬舎文庫）（松山市主催第4回坊っちゃん文学賞大賞受賞作品）
監督：櫻木優平
脚本：櫻木優平、大知慶一郎
キャラクターデザイン：西田亜沙子
CGディレクター：川崎司
色彩設計：田中美穂
美術監督：平良晴佳
撮影監督：権田光一
アニメーションプロデューサー：佐久間周平
アニメーション制作：萌、レイルズ
音楽：林イグネル小百合
主題歌：僕が見たかった青空「空色の水しぶき」（avex trax）
協力：松山市
製作幹事：松竹
製作：がんばっていきまっしょい製作委員会（松竹/VAP/テレビ東京/ WOWOW／愛媛新聞/南海放送/テレビ愛媛/あいテレビ/愛媛朝日テレビ/エフエム愛媛）
配給：松竹