「アニオタ」とは?単なるアニメの視聴者にとどまらないファンのあり方

みなさんは「アニオタ」と聞いてどのような印象を持たれるでしょうか。単に「アニメのオタク」の略称といえばそれまで。しかし、かつては「アニヲタ」などとも称され、ある種の蔑称としての側面を持っていました。

アニオタとは?

世界的な人気を誇る日本のアニメーション。その高いクオリティから、アニメ作品を熱心に愛好する人たちの存在は決して珍しいものではありません。そんな彼・彼女らは自らをアニメのオタク、「アニオタ」と称します。ある者は同好のアニオタとともにコミュニティで楽しんだり、ある者はストイックに作品考察によりひたすらに理解を深めたり、などと楽しみ方は様々。今やアニメを視聴するという行為は、広範なオタクジャンル、ひいては単なる趣味の一つとされています。

「アニオタ」というイメージの変化

しかし、そんな世間に違和感を覚える、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。なにせ、一昔前には「趣味としてアニメを見ている」と、公言することすら憚られるような風潮が社会には確かに存在していました。長らく「アニメ愛好家」と「オタク」はイコールのイメージで結ばれており、今で言う「陰キャ」的な趣味というイメージが蔓延っていたのです。とりわけ、ジャンル内でのメインストリームでもある「深夜アニメ」は、その中のさらに一部の、ディープなオタクが愛好するいかがわしいモノ、というレッテルが貼られていたほどです。

しかし、ここ10年ほどでアニオタ達の愛好する「深夜アニメ」を取り巻く状況はガラリと様変わりしたと言っても過言ではないでしょう。要因としては、年々右肩上がりに増加するアニメの制作本数や、テレビ放送にとらわれないインターネット配信を主体とした視聴環境の多様化などが挙げられます。そして、それらを後押しするように現れた大型ヒット作品の続出はまさに決定的でした。

例えば、2013年にアニメ第1期が放送された「進撃の巨人」。現在に至るまで4期が制作され、現在はNHK総合チャンネルにてファイナルシーズンを放送中の人気作品です。さらに、同じくNHKへ進出した「ラブライブ!」シリーズをはじめ、コロナ禍という苦境にあってなお日本の映画興行収入ランキングを塗り替えた「鬼滅の刃」も元は全て深夜アニメ。社会現象を巻き起こした大ヒット作品「呪術廻戦」に至っては、今年放送予定の第2シリーズが深夜枠から夕方枠へ引っ越すなど、「深夜アニメ」という括り方はもはや過去のものと言っていいでしょう。こうした人気作品の台頭によって、「アニメを見ている」という趣味に対する後ろ暗いイメージは次第に払拭されていきました。

アニオタの特徴

広く一般的になったアニメの視聴という趣味。そんな現代に、あえて「アニオタ」とされる人たちには、どのような特徴があるのでしょうか。

ジャンルを問わず幅広いアニメをチェック

ひとつは、「どの作品も1話から3話程度は目を通す」という点。アニオタ達は基本的に、そのクールに放送されている幅広い作品の情報を満遍なくチェックしています。中には全作品を視聴し、毎週放送を追いかける猛者も居るようです。しかし、あまりにも放送本数の多い現代では、全作品を追うには途方も無い労力が必要です。そこで「とりあえず3話まで見てみて面白ければ視聴を継続する」という方法が一般的に取られるようになりました。いわゆる「3話切り」です。

感想をリアルタイムに発信・共有

また、SNS上での「アニメ実況」も特徴的な行動の一つです。これは、放送中のアニメの感想をリアルタイムに投稿する、というもの。古くは匿名掲示板における実況スレッドなどでも行われていましたが、現代ではTwitterをはじめとしたSNS上で行われることがほとんどです。

インターネット配信やサブスク全盛の現代においてなおテレビ放送中にリアルタイムで行われるこの「実況」という行為。その同時話題性から、アニメの関連ワードがトレンドに上がることはいまや日常的な事となりました。こうした現象が、SNS上にて形成される「アニオタ」のコミュニティの成立や、同好の士との一体感を味わうといったムーブメントに一役買っているのです

アニメグッズを抵抗なく購入・使用

市場の拡大にともなって、アニメ作品の関連グッズも近年幅広く展開されています。高価なスケールフィギュアや抱きまくらカバーといったディープなオタクを象徴するようなグッズの人気もさることながら、ここ近年急激にそのアイテム数を増やしているのがTシャツやアクリルスタンドといった小物類です。

ラバーキーホルダーといった小さなアクセサリーを、さり気なくカバンに取り付ける、といったことはもはや当たり前。普段遣いのマグカップをよく見るとアニメキャラクターが刻印されている、なんてこともしばしば。最近では、店頭のくじ引きやコンビニタイアップといった形でこうしたグッズを見かけることも多くなり、それらを抵抗なく購入し使用する層は今や驚くほどに拡大しているのです。

カジュアル化するアニオタ

さらに、ここ数年ではファッション感度の高い女性が自らを「アニオタ」と称するといった驚きのムーブメントまで起こっています。TwitterやInstagramで気軽にアニメ関連の投稿をする彼女たちにとって、アニオタであるというステータスはPOPカルチャー的ファッションとなっているようなのです。今や、原宿のアパレルやPARCOで一般のおしゃれカップルがお気に入りのアニメグッズを購入している、といった光景は当たり前のものとなっています。

かつての「アニオタ」にイメージされた、暗く後ろめたい趣味であるという風潮は今やどこ吹く風。極々カジュアルにアニオタが名乗られ、アニメコンテンツを自由に楽しむことができる現代はまさに「国民総アニオタ時代」と言えるのではないでしょうか。

アニオタがおすすめするアニメ3選

最後に、そんな現代のアニオタがオススメしたいアニメ作品をいくつかご紹介。是非チェックして、アニオタへの第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか?

呪術廻戦

TVアニメ『呪術廻戦』PV第4弾

芥見下々氏による、「呪い」をテーマとしたダークファンタジー漫画を原作とするTVアニメシリーズ。散りばめられたコミカルな描写とは裏腹にグロテスクでハードな作風が話題の大人気作品です。2020年10月よりMBS毎日放送他「スーパーアニメイズム」枠にて第1期が放送。2021年末には劇場映画化も果たし、22年4月から老舗アニメ枠「日5」の復活第1弾作品として第1期が再放送中。今後、TVシリーズの2期制作も控えた、今大注目の作品です。

ソードアート・オンライン

アニメ「ソードアート・オンライン」 振り返りロングPV

「SAO」は川原礫氏のライトノベルを原作とする長編アニメシリーズ。本編作品の他にも外伝作品の放送や、幾度も劇場映画化もされるなど、現代の若者に絶大な人気を誇っています。内容は、バーチャル世界での死が現実世界での死に繋がるという巨大オンラインゲーム「ソードアート・オンライン」を舞台に繰り広げられるデスゲームを描いたサイバーパンク作品。2012年に第1期の放送がスタートしてから今年で10周年を迎える作品となっていますが、VRが普及してきている今だからこそ、改めてチェックしたい作品と言えるでしょう。

阿波連さんははかれない

TVアニメ「阿波連さんははかれない」第1弾PV | 2022年4月より放送開始

2022年4月よりMBS毎日放送他「アニメイズム」枠で放送中のTVアニメ。原作は「デンキ街の本屋さん」などの作品で知られる、水あさと氏によるWEB連載漫画です。ヒロインの阿波連れいなは小柄な身体にか細い声が特徴の風変わりな女子高生。そんな「阿波連さん」に優しく接しようとする主人公ライドウ君との、どこかズレた掛け合いが微笑ましい、まさに計り知れない魅力を持つ日常系の密着青春コメディアニメです。

ライター:ひびき

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