『この色、君の声で聞かせて』臨時対談を敢行! 演出 田邊俊喜×ヒロイン北澤早紀「朗読劇である理由をつきつめていきます」

舞台は高校=大人になるに向けての大事な時期。
演出家・田邊俊喜さん、と北澤早紀さんの新規対談をお見逃しなく。

熱望してヒロインをお願いした

田邊俊喜:
事前に少し話したんですけども、北澤早紀と対談するっていうのがなんか変な感じでして。
別作品で主役をやってくださっていて、そこで僕も携わらせていただいて、といった間柄なんです。
今回の舞台は、僕が熱望してヒロインの夢を演じるひとりになっていただきたいと思いまして、ご依頼しました。

北澤早紀:
ありがとうございます!

田邊俊喜:
引き受けていただいてありがとうございます!

北澤早紀:
幸せです。

田邊俊喜:
めちゃくちゃ嬉しい限りなんですけども。そもそも戦わない北澤早紀を僕は見たことない!
というか、今回はすごく新鮮な感じなんです。
当時からストレートプレイというか、会話劇や朗読劇を一緒にやりたいなっていう話をさせていただいていたので。

本当に念願が叶って。なんだか今から稽古が僕はものすごく楽しみです。

キャラクターたちが、大人の像を作っていく過程

北澤早紀:
私も凄く楽しみです。ですが、結構派手な動きの作品をやっているじゃないですか、田邊さんの演技指導も、ここでドーンでバーンでズドーンみたいな擬音が多く……。

田邊俊喜:
完全にいじってますね(笑)。これ、もう擬音が多くて、テキストだけで見たらめちゃくちゃ馬鹿じゃないですか、僕。

北澤早紀:
その派手なイメージが本当に強くて、繊細な脚本になるので、どういう言葉の表現を使ってくるのか楽しみです。

田邊俊喜:
役や作品のイメージなんですかね、擬音を多用する場合も多いですよ。ただ今回の作品はちょっと違った印象です。

北澤早紀:
舞台が高校で、個人的な過去や背景もあったりするのですが。
その中でいうと、本当に抱えてるものを持ったまま、大人になるに向けての大事な時期に入ったんだな、そのタイミングを表現しているんだな。
というのは凄く脚本から感じてました。

田邊:
学生の頃って、色々な人がいて、特殊なキャラクターたちがいて、ね。

北澤早紀:
作品自体のキャラクターたちが、大人の像を作っていく過程だから。
そこは本当に描き方次第でちょっとでもニュアンスが悪になったら、将来なんだか闇落ちしそうになるとか。
そういう本当に繊細な部分で、将来のキャラクターが変わっちゃう部分だなというように思っています。

田邊さんのコメント見たら、あっミスったみたいな(笑)

田邊俊喜:
それこそ僕も思うんですけど、女優、北澤早紀の魅力というか、イメージがすごく強さを持ってるけど。
ただ、その裏にめちゃくちゃ繊細さがあるっていうイメージが強くて。

北澤早紀:
私も凄く繊細に演じなきゃなって思いました。

田邊俊喜:
別作品の表現においてもすごく感じていて。

田邊俊喜:
さらに『この色、君の声で聞かせて』の夢っていう人間は、周りから強い×3って言われて自分の中で固めた氷を溶かすことなく持ってる子だから。
その氷が溶けた瞬間に、ばぁっと溢れ出すような、その繊細さの表現と。
あとは演劇的な熱量みたいなものをすごく持ってる人だから、単純にすごい楽しみなんですよ。早紀がやる夢ってどうなってくんだろうかっていうのが見てみたい。

田邊俊喜:
しかもまた朗読というこのスタイルがね、特殊じゃないですか。

北澤早紀:
ただ、まず一番最初に、出演へ向けてのコメントを書いた際、聴覚について書いたんですよね…コミュニケーションで聴覚が一番重要だ、みたいなことを。
だけど、その後、田邊さんのコメント見たら、「やはり“人間的”にどうかなんです。つきつめて五感で楽しめる~」と書いていたので、あ、ミスったと思いました(笑)

田邊俊喜:
いやいや、全然大丈夫です。それがやっぱり、多分ね、北澤早紀がやる朗読な気がするんですよね。
なんかもう僕の中でイメージがちゃんとわいてて。表現が絶対に音だけじゃないと思っています。ここで全身つかった表現をガンガンしてくれるだろうなっていう。

朗読劇である理由を稽古で突き詰めたい

田邊俊喜:
やっぱり朗読劇であるという理由というか、立ち稽古でいいじゃんって思われたら駄目だし、ドラマCDでいいじゃんって思われても駄目だと思って。
朗読劇であること、ってどこにあるんだろうなって。本当に指でのページのめくり方だったり、呼吸だったりとか。
文字を捉えながら読み進めていくっていう当たり前があるからこそ、この人は今、視線を外したくなったんだろうとか。
見つめている方向だったり、細かいところを稽古で一緒に突き詰めてやっていけたらいいなと。

北澤早紀:
そうですね。うん、楽しみです。

北澤さんは何色にも染まっていくイメージ

田邊俊喜:
作品名にひっかけて、ご自身を色に例えたら何色ですか?

北澤早紀:
私がいただく役は基本的に、黄色が多いです。
誰かに道標を与えてるけど別に私はそのつもりはない、そんな感じの黄色かなと思います。

田邊俊喜:
僕のイメージは…でもね、特殊で、めっちゃ真っ赤なイメージもあれば、超ブルーのイメージもあるんですよ。
両色が混ざってるみたいな。

北澤早紀:
素の私だと、ちょっと冷たいってよくいわれます。ドライな部分があります。

赤い炎ではなく、青くて自分でフツフツと内側から持ってる。
その炎がめちゃくちゃ燃えている、といった印象です。

北澤早紀;
つめたい色という感じは私でも確かにあります。
世間的な私のイメージですと黄色が多いんですかね。

田邊俊喜:
やっぱ何色にも染まっていくイメージもありますね。
役によって見え方がすごく変わるというか。

北澤早紀:
とても嬉しいです。

作品に花を添える

田邊俊喜:
では上演に向けて、ひとことお願いします。

北澤早紀:
田邊さんとの今回のタッグは、これまでにご一緒した作品とは180度本当に違った作品です。稽古期間も含めて、繊細でキラキラした青春の詰まった時間というのを一緒に作り上げていくのも本当に楽しみにしております。

田邊俊喜:
今言ってくれた通り、これまでも、しっかりとコミュニケーションを取りながら、ディスカッションしながら一緒に作れる女優さんでしたので。
今回もこの朗読の可能性や作品の可能性っていうのを、たくさん彼女が広げてくれるだろうなって。僕自身もすごく楽しみだし、頼りにしています。

北澤早紀:
再演ということなので、まだ田邊さんは見つけられていないかもしれないパーツを私自身から提供していければ良いなと思います。作品に花を添えられるように頑張りますので、よろしくお願いします。

田邊俊喜:
ぜひとも、お客様にしっかり届くように稽古して本番に向かっていけたらと思います。

北澤早紀:
劇場でお待ちしております!

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