小説家になるには?ミステリーからラノベまで幅広い小説ジャンルをご紹介!気になる収入も…

頭の中にある物語を形にしたい!誰かに自分の小説を読んで欲しい!!…そんな時、みなさんは「小説家なら」と考えたことはありませんか?でも、小説家になるのには何をどうしたらよいのかわかりません。
そこで今回は、小説家になる方法に加え、さまざまなジャンルや収入なども調べてみました。

小説家ってどんな仕事?

2021年本屋大賞『52ヘルツのクジラたち』や芥川賞受賞作『推し、燃ゆ』。お笑いの又吉直樹さんが手がけた『火花』など、私たちが日々目にするそれらは小説家が生み出した創作物です。そんな小説家の仕事がどんなものか覗いてみましょう。

様々なジャンルの物語を創作し発表する

日本の文学賞 といえば「芥川賞」と「直木賞」が有名ですが、それぞれの違いをご存じでしょうか?両者の違いは作風で、芥川賞=純文学(+新人)、直木賞=大衆文学…となるのです。つまり、『推し、燃ゆ』は純文学、『火花』は大衆文学に分けられます。
大衆文学はエンタメ小説とも呼ばれ、SFやミステリー、ライトノベルなど様々なジャンルがこちらに分類されるようです。
最近はweb小説やLINE風ノベルなども商業ベースとして存在しますが、こちらでは1つの定義として、出版社から「本」を発行・書籍化したことがある人を「小説家」と呼ぶことにします。

小説家の仕事 って?

小説家の仕事は、小説を書く以外にも様々です。例えばエッセイ、シナリオ、世界観監修などなど。他にも大学・専門学校の講師や講演、他作家の本の帯に加え推薦文、自分の知識を活かした編纂も挙げられるでしょう。
ですが、これらは中堅~有名作家さんのお話で、実際はバイトや会社員をしながらの兼業小説家も多いそうです。

小説家としてデビューするには?

小説家になるには、どのようなデビュー方法があるのかを調べてみました。正攻法はもちろんのこと、意外な切っ掛けもあるようです。

賞に応募する

自分の作風に合わせ、小説新人賞 などに応募します。4月の「電撃大賞」や6月の「文學界新人賞」など、毎月さまざまな出版社や企業から公募がされています。ただ、出版社以外は書籍化はほぼないため、企業や地方主催の場合あくまで受賞歴と考えて下さい。
こうした公募ですが、最近はwebでの入稿増加にともない、ネット環境やPCトラブルにより締め切りに間に合わないこともあるとか。一生懸命に書いた大事な作品、余裕を持って応募しましょう。

編集部に持ち込む

編集の方にも他業務があるので、アポイントを取ってから小説の持ち込みをしましょう。webや郵送で送る方法もありますが、対面でプロの助言を貰えるのは大変貴重な経験です。
そのままトントン拍子で小説家になるのは稀ですが、自分の実力を知ることができるうえ、アドバイスで生まれた作品がデビューに繋がることも…。

自費出版する

自費出版専門企業や出版社などに依頼して、文字通り”実費”で本やweb書籍を出版したり、書店などで販売してもらう方法です。自分の小説を本にしてはいますが、先ほどの定義に合わせると小説家ではありません。
さらに、こうした書籍を書店に置いてもらうのは大変難しく、自費出版した本は文芸同人即売会や通販などを利用して地道に売るしかありませんでした。
ところが、大手通販サイトAmazonが新サービスとして、個人が出版した紙の書籍を出版社などを通さずに販売できるサービス を発表したのです。これにより、今まで埋もれていた自費出版が日の目を見ることとなり、小説家になる切っ掛けが増えるかもしれません。

スカウト

自費出版の本やweb書籍、書籍化が確約されていない受賞や選外などでも、編集の御眼鏡にかなえば「スカウト」されることがあります。
そんなの稀だと思われるかもしれませんが、BL二次創作で活動していた筆者の知人は出版社にスカウトされ、現在も商業でBL小説を執筆しています。このように、デビューへの切っ掛けは意外なところにあるのです。

ラノベやなろう系の小説家になるには?

「なろう系」とは、小投稿サイト「小説家になろう(※以下なろう系)」に投稿された作品への呼称です。大手の小説投稿サイトは他にもあり、「カクヨム」や「アルファポリス」などが知られています。

なろう小説にはさまざまなジャンルが存在しますが、一般になろう系=ラノベと考えられています。ちなみに、ライトノベルの定義 は曖昧で、制作側が「ラノベ」と言うのなら「ラノベ」になるそうです。

なろう系は未完成作でもデビューできる?

なろう系は完結していない作品であっても、サイト内のさまざまな賞に応募でき、上位ランカーともなれば書籍化も夢ではありません。例えば、『Re:ゼロから始める異世界生活』や『わたしの幸せな結婚』は現在も刊行を続けていますが、作者はこれらの作品で小説家デビューを果たしています。
さらに、読者の反応により物語の展開を変えられたり、公開済み作品の手直しや削除が可能です。今までは小説を完結させた後、賞に応募したり出版社へ持ち込んでいたのに対し、なろう系はかなりの自由や余裕が生まれたのではないでしょうか。

なろう系で小説家になるには?

小説家になろうでは、2022年1月現在93万作以上 もの小説が掲載されていました。先ほども少し触れましたが、これほど多くの作品を押さえた上位ランカーともなれば、出版社から書籍化の打診が来るそうです。また、出版社と共同開催する「新人発掘コンテスト」など、なろう系は小説家になるチャンスがとても多いのです。
ところで、最近のなろう系で開催される賞では、書籍化に加えコミカライズ確約も増えています。例えば、「第1回WEB小説大賞」の場合、大賞は賞金50万+2巻書籍化+コミカライズ確約がされ、次賞にも書籍化とコミカライズが確約されていました。
出版社からの打診や受賞により書籍化が決まると、完結作品であっても手直しなどが発生し、出版まで数か月~1年近く費やす場合もあります。
ちなみに、気になる表紙や挿絵ですが、筆者の知人がなろう系で出版する際、数名の絵師から描いてもらいたい方を選べました(※出版社や状況による)。

小説家の収入は?

様々な賞を獲得したり、小説の映画化やドラマ化の話は後を断ちません。本が売れた文だけ印税も入るし、そんな小説家は儲かっているのでしょうか?

気になる収入を調べてみた

原稿料

書いた原稿に払われる金額で、後で説明する印税とは別になります。雑誌や文芸誌での連載の場合、400文字詰め原稿用紙1枚=2,000~5,000円程度ですが、有名作家ともなれば1枚=数万円の原稿料になるそうです。
芥川賞作家・羽田圭介さんはデビュー直後は1枚300円だったのが、経験を積んで4,000円に上がり、受賞後は5,000円になったと公表されました。

印税

相場は本の価格に対して8~10%程度だと言われています。単純計算ではありますが、1,500円のハードカバー本なら3,000部も売れば45万円ですが、550円 の文庫本の場合1万部発行して44万円。本の値段(装丁)により作家の収入にも変化が生じますが、余程ネームバリューが無いと高い本は売れないのも事実です。
電子書籍 の場合は紙媒体よりも印税率14~20%と高いのですが、発行部数ではなく売上部数に対して支払われます。

平均収入

調べた結果、小説家 の平均収入は100万円~300万円、ラノベ作家 の平均年収は200~300万円とほぼ同額でした。ですが、これらは最高と最低の平均データであるため、統計としては眉唾物となってしまいます。例えば、小説家になっても小説での収入がなければ0円ですが、売れっ子作家ともなれば億単位になり、そこから平均収入を導き出しても参考にならないからです。
そこで、次の項目では人気ラノベ小説家の収入について調べてみました。

あの人気ラノベ小説家の収入は?

『とある魔術の禁書目録』シリーズは、本編と短編集を併せた55巻まで刊行されており、累計発行部数は3100万部 を誇る大ヒット作品です。大雑把ではありますが、書籍を750円として印税を計算してみましょう。

750円×10%=75円×3100万部=23.25億円÷17年(2004年~2021年)=約1.4億円/年

ここに印税とは別に原稿料(440頁×55冊)を加え、アニメ化やコミカライズ、パチンコなどの印税や使用料も追加すると、『とある魔術の禁書目録』に関するおおよその収入が導き出されます。
ところが、作者である鎌池先生は16年間で電撃文庫での刊行(※とあるシリーズを含む)が100冊 突破(※2020年情報)であると判明したのです。これだけの生産性を誇る人気作家ならば、それに見合った収入になるのは想像に容易いですね。

小説家になるためのスキルや準備

こちらの項目では、より具体的に学べる場所や、あると便利な検定などを調べてみました。

文章を学べる専門学校

専門学校とはその名の通り、専門的な技術やノウハウが学べる場所です。また、小説以外のカリキュラムとして組み込まれていたり、同じ学校に通う事で漫画や絵本など関連した専門分野を知ることもできます。
特にラノベやシナリオは、漫画やアニメとは切っても切れない関係なのか、調べてみると漫画専攻に組み込まれている場合が多いようです。

あれば強みとなる検定

文章読解 ・作成能力検定(文章検定)

文章力向上や文章ルールを身に付けます。

校正 技能検定

原稿などの誤字脱字を正す検定。出版・印刷業界で活躍する技能です。

日本語 検定(語検)

ビジネスや就活にも強みとなる検定です。

日本 漢字能力検定

「漢検」の呼び名でも親しまれるこの検定は、マスコミでも度々取り上げられるほど有名です。

MOS 検定

マイクロソフト オフィス スペシャリストの略。ExcelやWordなどの操作スキルを証明できる国際資格。

必要な能力

語彙力…多くの言葉や単語を知り、使いこなす力。
構成力…物語の道筋やエピソードの順番など、文章全体のバランスを意味します。
発想力と描写力…固定概念にとらわれない発想と、独自のアイデアを魅力的に表現する力。
コミュニケーション能力…意外に思われるかもしれませんが、編集との意思の疎通はとても大切なのだそうです。

自分の想像を創造する

小説を書いていると、産みの苦しみに七転八倒することがあるかもしれません。だからこそ、苦労して書いたその作品によって、誰かが少しでも楽しんでくれたのなら喜びはひとしおです。
自分の中にしかなかった想像を文章の力で創造する、そんな職業が小説家なのかもしれませんね。みなさんも目指す職業の1つとして、小説家も視野に入れてみてはいかがでしょうか。

text/高塔琳子

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